製造リードタイムを短縮したいものの、どの工程に時間がかかっているのか把握できず、改善が進まないケースがあります。製造現場では、加工時間だけでなく、工程間の待ち時間や段取り替え、部材の供給遅れなどもリードタイムに影響します。
製造リードタイムの短縮には、工程ごとの作業時間と待ち時間を把握し、ボトルネックを特定することが重要です。
本記事では、製造リードタイムが長くなる主な原因、具体的な改善方法、MES(製造実行システム)を活用した工程データの可視化について解説します。

01. 製造リードタイムとは?
製造リードタイムとは、製造工程への投入から製品の完成までにかかる時間です。一般的に、実際の加工・組立時間に加え、工程間の待ち時間や搬送時間なども含まれます。
製造リードタイム = 加工・組立時間 + 段取り時間 + 待ち時間 + 搬送時間 + 検査時間など
例えば、実際の加工時間が短くても、次工程への移動や設備の空き待ちに時間がかかれば、製品の完成までの期間は長くなります。
そのため、設備の加工速度だけでなく、製造工程全体の時間を確認する必要があります。
02. 製造リードタイムが長くなる主な原因
① 工程間の待ち時間が長い
前工程の作業が完了しても、次工程の設備や作業者が対応できず、製品が滞留することがあります。工程ごとの処理能力に差がある場合、待ち時間が増えやすくなります。
② 段取り替えに時間がかかる
多品種生産では、製品切替時の設備調整や工具交換、材料準備などが頻繁に発生します。段取り時間が長いと、実際に生産できる時間が減少します。
③ 生産進捗を把握できない
作業実績の報告が遅れると、計画との差異や工程の遅延を把握しにくくなり、作業順序の変更や人員配置の調整が後手に回る場合があります。
④ 手戻りや再検査が発生する
品質不良による再加工や検査のやり直しが発生すると、予定外の作業が増え、後続工程のスケジュールにも影響します。

03. 製造リードタイムを短縮する4つの改善方法
製造リードタイムの改善では、単純に作業速度を上げるのではなく、工程全体の流れを見直すことが重要です。
| 改善方法 | 具体的な取り組み | 改善対象 |
|---|---|---|
| ボトルネックの改善 | 工程別の処理能力を確認し、作業配分や設備運用を見直す | 工程間の待ち時間 |
| 段取り時間の短縮 | 工具・材料の事前準備や作業手順の標準化を進める | 製品切替時間 |
| 生産進捗の可視化 | 工程別の作業開始・完了時刻と実績を記録する | 遅延の発見と対応 |
| 品質管理の改善 | 不良発生状況を分析し、再加工や手戻りを減らす | 再作業・再検査時間 |
04. MESで製造リードタイムを可視化する方法
MES(製造実行システム)は、製造指示と現場の作業実績を紐付けて管理するシステムです。工程ごとの作業開始・完了時刻や生産実績を収集することで、製造リードタイムの分析に必要なデータを蓄積できます。
工程別の作業時間・待ち時間を把握
各工程の開始時刻と完了時刻を記録し、工程間の移動・待機情報と組み合わせることで、時間がかかっている工程や滞留箇所を確認できます。
生産計画と実績を比較
計画した完了日時と実際の作業実績を比較することで、遅延が発生している製造指示や工程を把握しやすくなります。
改善前後の効果を検証
工程別の所要時間や待ち時間を継続的に集計することで、段取り改善や作業手順の変更による効果を検証できます。
MESを導入するだけでリードタイムが自動的に短縮されるわけではありません。必要なデータを収集し、現場の改善活動につなげることが重要です。

05. リードタイム改善で確認したい指標
改善効果を確認するには、製造リードタイム全体だけでなく、その内訳を継続的に測定することが有効です。
- 製造リードタイム:製造開始から完成までの所要時間
- 工程別サイクルタイム:各工程で製品を処理する時間
- 工程間待ち時間:前工程の完了から次工程の開始までの時間
- 段取り時間:製品切替や設備準備にかかる時間
- 納期遵守率:約束した納期までに完了・納品できた割合
製品や工程によって標準的な所要時間が異なるため、同じ条件の製品群や製造ラインで比較することが重要です。
06. BAPのMES・製造現場DX支援
BAPでは、製造現場の業務調査、要件定義、MESの設計・開発、既存ERPや設備データとの連携、運用・保守まで支援しています。
日系鋼管メーカー向けのMES業務調査・設計では、複数の製造工程における生産実績、工程間の仕掛品、品質情報、ロット管理などの業務要件を整理しました。
工場ごとの製造プロセスや既存システムを踏まえ、工程進捗の把握やデータ活用に必要な機能を検討します。
まとめ
製造リードタイムを短縮するには、加工時間だけでなく、工程間の待ち時間、段取り時間、手戻りなどを含めて改善する必要があります。
MESによって工程別の作業実績や所要時間を可視化することで、ボトルネックの特定と改善効果の検証を支援できます。まずは現状の時間構成を把握し、改善効果が期待できる工程から取り組むことが重要です。











