製造現場では、加工途中の製品がどの工程に、どれだけ残っているのか把握できず、生産計画の調整や納期確認に時間がかかることがあります。
仕掛品管理(WIP管理)とは、製造途中の製品について、数量・所在・工程進捗を把握する管理業務です。適切に管理することで、工程間の滞留や在庫の偏りを発見しやすくなります。
本記事では、仕掛品管理の基本、現場で起こりやすい課題、MESを活用した改善方法を解説します。

01. 仕掛品管理(WIP管理)とは?
仕掛品(Work in Progress:WIP)とは、製造工程に投入され、まだ完成品になっていない製品や部品を指します。
仕掛品管理では、主に次の情報を管理します。
- 工程ごとの仕掛品数量・重量
- 保管場所と現在の工程
- 投入・加工・移動の実績
- ロット番号や製造指示との関連
例えば、切断・加工・熱処理・検査と複数の工程がある工場では、各工程の仕掛品を把握することで、生産の滞留箇所や次工程への供給状況を確認できます。
02. 仕掛品管理でよくある3つの課題
① 工程ごとの在庫数量が分からない
記録の更新が遅れると、帳簿上の数量と現場の実在庫に差が生じ、確認作業が増える原因になります。
② 仕掛品の滞留を把握しにくい
工程間の在庫状況が見えないと、特定工程への仕掛品の集中や処理待ちの長期化を発見しにくくなります。
③ 在庫確認に時間がかかる
部門ごとに異なる管理台帳を使用している場合、在庫状況の確認や集計に手間がかかります。

03. MESによる仕掛品管理の改善方法
MES(製造実行システム)では、製造実績と工程間の移動情報を紐付けて管理することで、仕掛品の状況を可視化できます。
| 管理項目 | MESによる管理方法 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 仕掛在庫 | 工程別の数量・重量を記録 | 在庫状況の把握 |
| 工程間移動 | QRコードなどで移動実績を登録 | 所在確認の効率化 |
| 工程滞留 | 工程ごとの滞留時間を集計 | ボトルネックの発見 |
| 進捗確認 | 製造指示と実績を紐付け | 生産状況の確認 |
※ データの更新頻度や自動収集の範囲は、MESの構成と現場設備との連携状況によって異なります。

04. 仕掛品管理を改善するためのポイント
仕掛品管理の改善では、システム導入前に管理ルールを整理することが重要です。
- 管理単位の統一:数量・重量・ロットなど、工程ごとの管理基準を明確にする。
- 記録タイミングの設定:工程への投入、完了、移動時に必要なデータを登録する。
- 現場で使いやすい運用:QRコードやタブレットなどを活用し、入力負担を抑える。
すべての工程を一度にシステム化する必要はありません。まずは仕掛品の滞留や在庫差異が発生しやすい工程から、管理方法を見直すことも有効です。
05. BAPのMES・仕掛品管理システム開発支援
BAPでは、製造現場の業務調査からMESの設計・開発、既存システムとの連携まで支援しています。
日系鋼管メーカー向けのMES業務調査・設計では、工程ごとに異なる数量・重量・ロットの管理方法を整理し、仕掛品の在庫管理や工程間移動を含むシステム要件を検討しました。
工場の製造プロセスに合わせ、現場で運用しやすいデータ管理の仕組みづくりを支援します。
まとめ
仕掛品管理(WIP管理)は、工程ごとの在庫数量や所在、進捗を把握するための重要な業務です。
MESによって仕掛品と製造実績を一元管理することで、工程間在庫の見える化や滞留状況の把握を支援できます。まずは現場の管理方法を整理し、必要な機能から改善を進めることが重要です。











